困難な仕事を乗り越えた先に
何物にも代えがたい面白さがある。

普段なかなか接することが少ない土木工事のこと。じつは人々の生活を支える、とても大切な仕事です。今回は「博多区西月隈地区下原系送水管布設工事」というプロジェクトを通じて、東田中建設で働く社員の想いをお届けします。

PROFILE

竹ノ上 聡さん

竹ノ上 聡さん

高校卒業後、建築会社に入社。20歳を前に東田中建設に転職し、オペレーター見習いから始まり約30年間勤務している大ベテラン。現在は工事部長として、さまざまな現場の現場代理人を務めている。

田中 俊さん

田中 俊さん

大学卒業後、営業職を経験した後、2007年に入社。学生時代に土木業界でのアルバイト経験があったこともあり、入社以来、施工管理業務に携わってきた。現在は公共事業の入札や採用業務に関わる。

PROJECT

博多区西月隈地区下原系送水管布設工事

1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災によって、全国的にインフラの耐震化が見直されました。それから10年後の3月、福岡県西方沖地震が発生。福岡においても耐震化が進む中、東田中建設では水道という生活に欠かせないインフラの耐震化に取り組みました。福岡県大野城市の浄水場から福岡市博多区月隈までの送水管が警固断層にかかっていることから、二条化(現状の送水管断裂時のパイパス管敷設)を実施。工期は2020年12月から2023年3月までの2年強で、地中20mの深さに約550mにわたりさや管用のトンネルを掘り、その中に水道用の1,100mmの巨大な送水管を布設しました。

人々の安全を守り生活の質を向上させる土木の仕事

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

一連の工事の中で我々が担っていたのは施工管理の仕事。工事の発注者との打ち合わせから警察や消防など関係機関との調整、協力会社の手配、資材の調達など、業務は多岐にわたります。

田中 さん
田中 さん

私は当時、現場代理人として工事に参加していたので、主な仕事は発注者との打ち合わせ。もちろんそれだけではなく竹ノ上さんがまとめている現場にも顔を出し、実務的な面のサポートをしていました。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

現場代理人とはいえ、仕事は発注者との打合せだけじゃないですからね。私は監理技術者として、現場監督を務めていましたが、今回の敷設工事は本当に大変な現場でした。工期は2年以上。関わる人員、工事の困難さなど、受注金額も含めてスケールの大きな一大プロジェクトになりました。

田中 さん
田中 さん

穴を掘るトンネル工事(推進工事)の経験はありましたが、そこに送水管を通し、20m地上に立ち上げて既設の送水管に接続するという工事は初めてで、無事に施工できるか不安だったのを覚えています。

推進マシン
推進マシン
竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

確かにトンネルも長くて、河川の下や都市高速道路の下を通過するため、地上に影響を与えることなく無事に掘削ができるかというのは気になっていました。

田中 さん
田中 さん

そうなんですよ。本当に不安だったので、施工が始まるまでに協力会社の皆さんとは何度も打ち合わせを繰り返しましたからね。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

工事着手後、トンネルが通る位置に都市高速道路施工時の矢板(土砂の崩壊などを防ぐ鋼製板状の杭)が見つかったり、通過する河川の下に埋設管があるのが分かったり。難題もたくさんありましたが、それを解決していくのが私たちの腕の見せ所ですから。

田中 さん
田中 さん

施工前に協力会社の方たちにも「非常に難しい」と言われてしまって。社内では何度も議論を重ねましたよね。それだけ、経験したことがある人も会社も少ない困難な工事だったのだと思います。だからこそ送水管が全部つながった時には、ものすごい達成感がありました。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

達成感というか、終わることができたという安心感も強かったね。

田中 さん
田中 さん

無事終わったことをねぎらうために、みんなで一杯飲みに行ったり。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

基本、土木の仕事は地下の工事が多く、施工が終わってしまえば目に見えるのがマンホールだけということもあります。苦労した現場であっても、大部分は地中に埋まってしまいますが、子供を連れてフラッと見に行ってしまうことがあるんです。

田中 さん
田中 さん

子供に自慢したくなりますよね。トンネル工事も施工中は地下にある大きな土管の中を歩いていくわけなので、自分たちがやっている仕事のすごさがわかりやすいんですけどね。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

普段は気付かなくても、私たちの仕事で大雨による災害がなくなったり、災害時の備えができたり、新たに道路を造って交通渋滞を解消させるなど実際に住んでいる人たちの生活の質が向上する。非常に意義のある仕事であることは間違いありません。

田中 さん
田中 さん

今回の規模くらいの工事になると、福岡市内の企業の中でも施工できる会社は限られていますよね。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

多くの人たちの生活に直結するので、信頼できる技術や実績がないと難しいもの。地下20mの場所に500m以上のトンネルを掘り、巨大な送水管を通していくというダイナミックな仕事。東田中建設だから大変な仕事を任せてもらえたという自信にもつながります。

予想外の困難にも
果敢に立ち向かう

田中 さん
田中 さん

今回の事業は、もともとある送水管が古く耐震化がなされていないということから始まった工事。大きな地震が起きたら断水が続いてしまうため、耐震化した送水管をもうひとつ通そうという工事でした。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

いまの送水管でも水は供給できるのですが、災害になると福岡都市圏に水が供給できなくなってしまう。各家庭につながっている水道管の大元になるわけなので、そこがダメになってしまえば影響も大きいですから。

田中 さん
田中 さん

だからこそ責任を感じる現場でした。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

もちろん事前に調査はしているものの、地中の状態は目視できるわけではありません。その分、施工中には予想外のことがたくさん起きました。川の下にトンネルを掘るのは想定外のことが起こりやすくて本当に難しいんです。

田中 さん
田中 さん

そうなんです。計画では御笠川の下にトンネルを通過させる必要がありましたが、推進途中から硬い岩盤にぶつかって。事前の土質調査ではギリギリ当たらないはずでしたが、岩盤に当たって掘削マシンが止まってしまったんです。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

常に水が流れているので、河川の土質調査を完璧に行うことは難しいよね……。

到達したマシン
到達したマシン
田中 さん
田中 さん

運良くマシンが止まった場所がマシン回収用の立坑(垂直の穴)を掘れる場所だったので、地上から立坑を掘って地下のマシンを調べてみると、マシン前面の土を掘る部分が折れていて。新たに3カ月かけて岩盤対応のものを製作して何とか掘り進めることができました。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

山から流れて来た転石などが堆積しているため、河川の下は硬い土質の場合が多いんです。掘進不能になったところがたまたま埋設管などが少ない場所だったので、本当に運が良かったのだと思います。

田中 さん
田中 さん

それでも諦めるメンバーはひとりもおらず、困難を乗り越えてトンネルの推進を完了させようという思いが強かったことを覚えています。こういう予想外のトラブルに対しても柔軟に対応できるというのは、小さな工事から大きな工事までひたむきに取り組んできた、今までの多くの経験が生きていると思います。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

掘進不能になった時はどうしようかと頭を抱えましたが、結果的に事故がなく施工完了できたのでホッとしています。

トンネルを掘り終えたマシン
トンネルを掘り終えたマシン
田中 さん
田中 さん

掘進不能以外にもたびたび想定外のことが起こり、そのたびに対処に頭を悩ませた現場でしたからね。けれど、それを乗り越えた時には達成感や喜びも大きいもの。創意工夫で困難を乗り越えていく楽しさはありますね。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

トラブルに対処していくだけではなく、前もって予測できることを考えてトラブルの芽を摘む。当たり前だけど、それが私たち技術者の仕事ですから。

自分の成長が
日々実感できることが
東田中建設の仕事の特徴

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

監理技術者としては、自分の立てた計画通りに最後まで施工が終わった時がやはり一番気持ちの良い仕事です。しかし何もトラブルがなかった現場というのは、ほとんどない気がします……。

田中 さん
田中 さん

台風やゲリラ豪雨など、天候にも左右されますよ。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

現場代理人は変更提案が通った時に、やりがいがあるよね?

田中 さん
田中 さん

それはありますね。例えば安全面や品質的に優れている施工を追加提案して採用されれば、それは現場代理人として、会社としての技術の証明にもなります。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

その駆け引きは現場代理人の醍醐味だよね。

田中 さん
田中 さん

工事は完了後に点数で評価されるんです。高得点を取るとお客様から表彰されるので、そういう時にはやりがいを感じます。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

会社からは金一封があり、モチベーションにもつながります(笑)。

田中 さん
田中 さん

竹ノ上さんは何回も表彰されていますからね。やっぱりうちのエースなんです。工事前にずっと先の工事のことまで検討しているし、なかなか真似できないです。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

そういう田中さんも短期間で本当に成長したなと。同じ年代でこれだけスキルがある人はそうそういないと思いますよ。

田中 さん
田中 さん

数カ月先のことまで見越してどんどん工事の準備を進めていく竹ノ上さんの姿勢は、新しく入ってくる人にも真似してほしいところ。

竹ノ上 さん
竹ノ上 さん

東田中建設は監督、作業員全員が本当に真面目だなと。工事成績も優秀ですから、真似できる人は多い会社です。とにかくコミュニケーションがとれて元気な人であれば、日々自分の成長が実感できるはず。

田中 さん
田中 さん

土木工事は簡単ではありませんが、入社時に特別な能力がなくてもやる気さえあれば挑戦できる仕事です。自社施工ができるため、施工管理だけではなく職人さんと一緒にモノづくりも経験できる職場です。モノづくりが好きな人や大きな達成感を味わいたい人、福岡という街をフィールドに成長を感じたい人は、ぜひ一緒に働きたいですね。